Please allow me to introduce myself
自己紹介をさせてくれよ
I'm a man of wealth and taste
俺は何もかも持っているし知っている
I've been around for a long, long year
ずっとずっと昔からあらゆる場所で
Stole many a man's soul and fate
色んな奴らの魂と運命を奪ってきた
I was around when Jesus Christ
Had his moments of doubt and pain
イエス・キリストが疑いと痛みの最中にある時
俺はそばにいたんだ *1
Made damn sure that Pilate
Washed his hands and sealed his fate
ピラトが手を清めて彼の運命を定めるのを
俺は見届けたんだ *2
Pleased to meet you
会えて嬉しいよ
Hope you guess my name
俺の名前を当ててみな
But what's puzzling you
お前の苦悩は
Is the nature of my game
俺の遊びに過ぎないのさ
I stuck around St. Petersburg
When I saw it was a time for a change
変革の時を眺めるために
サンクトペテルブルクにいたこともあった
Killed the Czar and his ministers
Anastasia screamed in vain
ツァーリや大臣が殺されて
アナスタシアが虚しく叫んだよ *3
I rode a tank
Held a General's rank
将軍の地位に就いて
戦車に乗ったこともあった
When the Blitzkrieg raged
And the bodies stank
電撃戦が猛威を振るい
死体が腐り果てていた *4
Pleased to meet you
会えて嬉しいよ
Hope you guess my name
俺の名前を当ててみな
But what's puzzling you
お前の苦悩は
Is the nature of my game
俺の遊びに過ぎないのさ
I watched the glee
While your kings and queens
お前達の王や女王の
歓喜の時も見届けた
Fought for ten decades
For the Gods they made
たったの100年間や *5
自分達で創った神のために戦っていた *6
I shouted out
"Who killed the Kennedys?"
俺は大声で叫んだよ
Well after all
It was you and me
結局のところ
それは俺とお前なんだ
Let me please introduce myself
自己紹介をさせてくれよ
I'm a man of wealth and taste
俺は何もかも持っているし 知っている
And I laid traps for troubadours
トルバドゥールを罠にかけ *8
Who get killed before they reached Bombay
Pleased to meet you
会えて嬉しいよ
Hope you guess my name
俺の名前を当ててみな
But what's puzzling you
お前の苦悩は
Is the nature of my game
俺の遊びに過ぎないのさ
Just as every cop is a criminal
全ての警官が犯罪者であるように
And all the sinners saints
全ての罪人と聖人が
As heads is tails
繋がった頭と尾であるように *11
Just call me Lucifer
俺のことはルシファーと呼んでくれ *12
I'm in need of some restraint
少しは自制しないといけないから
So if you meet me, have some courtesy
俺に会ったら少しの敬意と
Have some sympathy and some taste
少しの憐れみと 少しの洞察を抱け
Use all your well learned politics
全てを賭けて駆け引きをしないと
Or I'll lay your soul to waste
お前の魂は無駄になるぜ
Pleased to meet you
会えて嬉しいよ
Hope you guess my name
俺の名前を当ててみな
But what's puzzling you
お前の苦悩は
Is the nature of my game
俺の遊びに過ぎないのさ
*1:"I was around when Jesus Christ / Had his moments of doubt and pain":
新約聖書の『マルコの福音書』や『マタイの福音書』において、イエスが磔にされながら神に疑問を投げかける場面の引用と思われます。
25 イエスを十字架につけたのは、朝の九時ごろであった。
29 そこを通りかかった者たちは、頭を振りながら、イエスをののしって言った、「ああ、神殿を打ちこわして三日のうちに建てる者よ、
30 十字架からおりてきて自分を救え」。
31 祭司長たちも同じように、律法学者たちと一緒になって、かわるがわる嘲弄して言った、「他人を救ったが、自分自身を救うことができない。
32 イスラエルの王キリスト、いま十字架からおりてみるがよい。それを見たら信じよう」。また、一緒に十字架につけられた者たちも、イエスをののしった。
34 そして三時に、イエスは大声で、「エロイ、エロイ、ラマ、サバクタニ」と叫ばれた。それは「わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。
*2:"Made damn sure that Pilate / Washed his hands and sealed his fate":
新約聖書の『マタイによる福音書』において、イエスが捕まり裁かれる場面の引用です。"Pilate"は、ローマ帝国の第5代ユダヤ属州総督、ポンテオ・ピラトのこと。
22 ピラトは言った、「それではキリストといわれるイエスは、どうしたらよいか」。彼らはいっせいに「十字架につけよ」と言った。
23 しかし、ピラトは言った、「あの人は、いったい、どんな悪事をしたのか」。すると彼らはいっそう激しく叫んで、「十字架につけよ」と言った。
24 ピラトは手のつけようがなく、かえって暴動になりそうなのを見て、水を取り、群衆の前で手を洗って言った、「この人の血について、わたしには責任がない。おまえたちが自分で始末をするがよい」。
25 すると、民衆全体が答えて言った、「その血の責任は、われわれとわれわれの子孫の上にかかってもよい」。
26 そこで、ピラトはバラバをゆるしてやり、イエスをむち打ったのち、十字架につけるために引きわたした。
*3:"Killed the Czar and his ministers / Anastasia screamed in vain":
第一次世界大戦中の1917年、ロシア帝国の首都ペトログラード(現在のサンクトペテルブルク)で起きたロシア革命のこと。食糧配給の改善を求めるデモに端を発し、数万人の軍人や労働者による武装蜂起へと発展しました。"Anastasia" は、最後のロシア皇帝(ツァーリ)ニコライ2世の娘、第四皇女であるアナスタシア・ニコラエヴナのこと。革命に際して成立した臨時政府によって家族と共に監禁され、1918年7月17日に17歳で処刑されています。が、埋葬された場所が長年不明だったため、生存説が噂されたことでも有名です。革命によって1721年から続いていたロマノフ家の帝政が終わり、1922年にソビエト連邦が樹立されました。
*4:"Blitzkrieg":
電撃戦(ブリッツクリーク)。戦車などの機甲部隊の機動力を活かし、戦力を前線の一点に集中させて一気に突破する戦法。第二次世界大戦中のナチス・ドイツの軍人ハインツ・グデーリアン(最終階級は上級大将 (Colonel General))によって考案・実践されました。特に1940年5月10日から同年6月25日のフランス侵攻は、電撃戦の威力が最も発揮された戦闘として知られています。
*5:"Fought for ten decades":
おそらく百年戦争のこと。通常、1337年11月1日から1453年10月19日までの、フランス王国やイングランド王国の諸侯による116年間の対立状態を指します。(第二次百年戦争もありますが。)この百年戦争により、絶対王政や「国家」という概念がヨーロッパに浸透したとされています。
*6:"For the Gods they made":
おそらく、ユグノー戦争(1562-1598)や三十年戦争(1618-1648)といった、カトリック対プロテスタントの一連の宗教戦争のこと。これらの戦争の結果、ヨーロッパで政教分離が進められました。
*7:"I shouted out "Who killed the Kennedys?"":
1963年11月22日のジョン・F・ケネディ暗殺事件および1968年6月15日のロバート・ケネディ暗殺事件のこと。(複数形で "Kennedys" となっているため。)どちらの事件も、真犯人に関する陰謀論が今なお噂されています。
*8:"troubadours":
トルバドゥール。12~13世紀にオック語で抒情詩を作り歌った吟遊詩人のこと。フランスやスペイン、イタリアで見られたそうです。
*9:"Bombay":
インド第二の都市ムンバイ(Mumbai)のこと。1995年に英語の名称がボンベイ(Bombay)から、現地語の名称に基づくムンバイに変更されました。電車で半日ほどの距離を南下すると、かつてヒッピーの聖地として知られた都市ゴアがあります。
*10:"And I laid traps for troubadours / Who get killed before they reached Bombay":
ここの歌詞は解釈が分かれているようですが、下記の記事には「1960〜1970年代にインドを陸路で目指したヨーロッパのヒッピーたち(ヒッピー・トレイル)が、アフガニスタンやパキスタンの麻薬密輸業者に多数殺害されたことを指しているのではないか」と書かれています。
*11:"And all the sinners saints / As heads is tails":
自らの尾を咥える蛇または竜の図であるウロボロスを指しているのでは...?と推測しました。世界の循環性や、相反するもののつながりを意味し、起源は紀元前1600年頃の古代エジプト文明までさかのぼります。古代ギリシアに伝わったのち、哲学者たちによって「尾を飲み込む蛇」を意味する「ドラコーン・ウーロボロス(δρακων ουροβóρος)」と呼ばれました。同じ図がアステカや古代中国、アメリカ先住民の文化でも見られるそうです。ちなみに、例えばエデンの園でイヴをそそのかした蛇のように、聖書において悪魔は蛇や竜の姿で登場することがあります。
*12:"Lucifer":
ルシファー。明けの明星を意味するラテン語であり、キリスト教における悪魔(サタン)が天使だったころの名前。キリスト教の伝統的な解釈では、元は天使の長だったルシファーは、神に謀反を起こし、天を追放され堕天使/悪魔となったとされています。
12 黎明の子、明けの明星よ、あなたは天から落ちてしまった。もろもろの国を倒した者よ、あなたは切られて地に倒れてしまった。
13 あなたはさきに心のうちに言った、『わたしは天にのぼり、わたしの王座を高く神の星の上におき、北の果なる集会の山に座し、
14 雲のいただきにのぼり、いと高き者のようになろう』。
15 しかしあなたは陰府に落され、穴の奥底に入れられる。