2022年はこんな音楽を聴いていました。
今年発表された新作や、今年出会った旧作を、思い浮かんだまま並べます。
The 1975 / Being Funny In A Foreign Language
キラキラして楽しげなのに、同時に寂しさも感じるアルバム。どの曲も陽気さと陰気さが混ざっていて、聴いていると良い意味で複雑な気分になります。疲れているけど暗くなりたくないとき、このアルバムはぴったりの癒しでした。The 1975 の過去作と比べて、長さが43分間とコンパクトなのも嬉しいです。特に好きな曲は「Happiness」と「Part Of The Band」。
チプルソ / 一人宇宙Ⅲ -歌陽風月-
ラッパー・チプルソが作詞・作曲・演奏・編曲をすべて一人で手掛ける「一人宇宙」シリーズの第3弾。この人にしか作れない独特な音と言葉の世界です。徹夜明けの朝に頭がぼーっとしているような、心地いいトリップ感を味わえます。比喩と韻に満ちたラップは、悪く言えば散漫で意味不明、良く言えば詩的で幻想的。万人受けはしないんでしょうが、私はすっかり中毒です。特に好きな曲は「淡い」と「Sunrise」。最新作の『一人宇宙Ⅴ ー地球到達ー』も最高でした。
宮内優里 / ワーキングホリデー
宮内優里さん、今年観た映画『リトル・フォレスト』(森淳一監督、2015年)の音楽で知りました。鳴る音すべてが爽やかで心地良くて、聴くたびに気分爽快。テレワーク中の気晴らしとしてずいぶん助けられました。このアルバムは客演もすごく、高橋幸宏や原田知世、星野源など、音楽性の豊かなコラボレーションを楽しめます。特に好きな曲は「okt_」と「Another Place」。
Tinariwen / Amadjar
サハラ砂漠の遊牧民であるトゥアレグ族が結成したバンド、Tinariwen。美術館で手にしたフリーペーパー経由で偶然知りました。民族音楽とブルースが組み合わさっていて、新鮮なのに耳にすっと入ってくる音楽。このアルバムは砂漠を旅しながらテントでライブ録音をして作ったそうで、ほどよいラフさとどっしりとしたリズムで落ち着きます。いつかライブでこのグルーヴを浴びてみたい。特に好きな曲は「Taqkal Tarha」と「Mhadjar Yassouf Idjan」。
Harry Styles / Harry's House
聴き心地が良すぎて、一時期はこのアルバムばかり聴いていました。実験的な音のおもしろさと、耳触りの良いポップさのバランスが絶妙。すべての曲が小規模で、(変な言い方ですが)愛想が良くて、どんな時に聴いても楽しめます。特に好きな曲は「Music For A Sushi Restaurant」と「Keep Driving」。
SAULT / 5
ライブはしないしミュージックビデオも作らない、いっさい表舞台に出てこないイギリスの音楽集団、SAULT。どういう経緯で知ったのか忘れてしまいましたが(たぶんSpotifyのレコメンド機能?)、今年出会った音楽の中で最もかっこいいです。ファンクやパンク、ソウルなど、いろいろな音楽の一番スタイリッシュな部分を抽出して混ぜたらこうなりました、という感じ。特に好きな曲は「Up All Night」と「We Are The Sun」。
Norah Jones / I've Got A Feeling (Live From The Empire State Building)
こちらはアルバムではなくシングル。ノラ・ジョーンズがビートルズをカバーしたら、当然最高になりました。
あらためて振り返ってみると、映画やフリーペーパーなどを経由してたまたま出会った音楽と、思いがけなく深い付き合いをした一年でした。特にTinariwenとの出会い。サハラ砂漠の遊牧民の音楽が、自分の好みにこんなにも合うとは。これまで縁もゆかりもなかったサハラ砂漠の文化が、音楽を通じていっきに生活の一部になるのは愉快な経験でした。
来年はどんな音楽を聴くことになるのか、予想できなくて楽しみです。